P型2級とは、小規模な建物に採用可能な火災報知器のシステムだ。
P型2級では発信機が押された時の〝応答確認機能〟は必要なしとされているが、現行のP型2級受信機ではこの応答確認に使用するA線が標準装備されている。一昔前の受信機には、受信した発報信号を誤報かどうか様子を見るための蓄積機能がなかったので、感知器か発信機かの識別は必要なかったが、この蓄積機能が標準装備されたために発信機を識別するA線が必要となったわけだ。
ここで発生するのが〝A線無い問題〟!
元々必要なかった電線が必要になったと言っても、現地にその分の余り線があるとも限らない。電線に余りが無ければ幹線の引き直しが必要となるので、設備の更新時には大変な工事となる場合もある。
メーカーもこの問題に対応して、〝蓄積解除アダプタ〟なるもので、発信機の信号のみ蓄積機能を解除する中継器を用意し対応したりしてきた。今ではその蓄積解除アダプタの機能を標準装備した受信機もある。ただこの標準装備された蓄積解除機能も、現場の設備状況によっては対応出来ない場合があるのでご注意を。A線無しで感知器と発信機の信号を識別するために、感知器の確認灯を利用していることから、〝確認灯無し感知器〟には対応不可。こうなると感知器の交換あるいは幹線の引き直しとなる。
着工後に思わぬ追加工事とならないよう、しっかりと現地の状況を確認したいものだ。
余談ではあるが、そもそもA線がない受信機には蓄積機能がないので、受信機交換でこの〝A線無い問題〟に直面したとしても、蓄積機能を利用しない設定とすれば、元々の仕様と変わらず運用は可能だ。ただ感知器の作動が誤報かどうか様子を見る蓄積機能がせっかく標準装備されてるのだから、防災屋としては最新の機器仕様に合わせた施工を心掛けたいと思う。