マニアックコラム

2024.09.08

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消火ポンプの電流値

消火ポンプの運転時の電流について少し深堀りたいと思う。

メインバルブや一次圧調整弁の仕切弁を閉止して消火ポンプを運転すると、水温上昇防止用逃がし配管以外に水の排出先が無い所謂❝締切運転❞の状況となる。この運転時の電流値をチェックしておくことが実は重要である。要はポンプは回っているけど❝水が動いていない❞時の電流値だ。

その締切運転の状況から、性能試験配管のバルブを開けていくと水が動き出して段々と電流値は上がる。逆に圧力計の圧力値は段々と下がる。そして性能試験が完了して試験用バルブを閉止したらまた水が動いていない状況となる。

そこからメインバルブを開放していく際、この開放していく過程での電流値の変化を確認することもまた大事である。

要はメインバルブの二次側に送水していくのだが、消火栓やSPヘッド等の出口は閉止された状態なので、少しくらいの押し込みがあったとしても水はほとんど動かない状態のはずである。メインバルブの開放とともに電流値が少し上がっても、しばらくして電流値が下がっていき締切運転時の電流値になれば、もう完全に❝水が動いていない❞状態に落ち着いたと判断出来る。これが電流値が落ちつかず締切運転時の電流値に戻らない場合はどこかから漏れているということだ。その原因で多いのは屋上の補給水槽の逆止弁不良による水槽への逆流である。消防点検が終わった後に補給水槽満水で呼び出されたなんて経験がある人もいるのではないだろうか。それはポンプアップした圧力水が逆止弁不良により少しづつ補給水槽内の水を増やしていった結果かもしれない。

以前点検した物件でメインバルブを開けて送り込んだ際に、電流値が落ち着かないどころか性能試験時の電流値まで上がってそのまま安定してしまったことがあった。明らかに大量の水が噴き出していることが想像出来たのだが、建物内で何の異変も見当たらなかったことから、ポンプ室から建物までの埋設管で漏れているだろうという判断となった。見えない部分の水の流れを想像するためにいかにこの電流値が大事かということが分かる。

締切運転時の電流値・圧力値、性能試験時の電流値・圧力値がどのような数値であるのが正解で、実際にはどういう数値を示していてどういう状況が考えられるのか。配管内の水が見えるような、しっかりと考えた点検をしていきたいものである。