煙感知器の設置基準では、壁又は梁から0.6m以上離れた位置に設置するよう規定されている。この一文だけでは、例えば0.1m程度の障害にならないような梁であっても、その梁から0.6m以上離さないといけないとも読み取れる。ただ、この一文が意味するところは、〝壁または0.6m以上ある梁から0.6m以上離れた位置に設置する〟がどうやら正解のようだ。
この件はとある消防検査にて、消防検査官からの〝梁からの離隔不足〟の指摘に対し、指摘撤回を求めて消防署に確認を求めた際にその確信を深めることが出来た。消防署が日本火災報知機工業会に問い合わせた後に、指摘が撤回されるという異例の展開となったのだ。
工事基準書においても、梁の深さがどうかという記述はないのだが、参考のイラストを見ると、確かに梁に〝0.6m以上〟という記載があり、どうやら0.6m以上の梁に対しての規定と解釈が出来そうである。
ただ、そもそもの話だが、壁や梁からの離隔を必要とするのは、火災時の煙が部屋の角を感知しにくいことに起因している。それを考えると、0.6m以上の梁でなかったとしても、その梁に寄せて設置してしまうと感知が遅れるリスクがあるのではないか。
0.59mの梁から0.1mの位置に煙感知器が設置されていたとして、それは消防法の解釈としてはクリアになるかもしれないが、状況に応じて適切に設計すべき消防設備士の責務として、それを適切な施工と判断して果たして良いものか。
私の結論だが、煙感知器は梁の深さに応じて、
ある程度適切な離隔を心がけるべきだろう。